三つ目は
ハイビジョンシティー構想です。この構想は郵政省が一九八七年度に提唱した
高度映像都市構想で、ハイビジョンを都市の生活空間に導入し、活気と潤いにあふれた先進都市を構築しようとするもので、モデル都市では、それぞれの住民ニーズに対応したハイビジョンの利用を行うことにより、オリジナリティーのある映像文化を創造するとともに豊かな都市生活の実現を図ることを目指すもので、一九九一年初めの段階で二十三地域がモデル都市として指定されております。
以上の三つの構想の
モデル地区指定を受けて、先般策定されました熊本市基本計画の中でも、
情報拠点都市の形成として
高度情報化社会への取り組みが進められることになっております。情報通信のシステム化、
ネットワーク化は都市づくりの中で、人間に例えますと、建物は人間の肉体であり、道路は血管であり、情報通信のシステム化は中枢神経であり、情報通信の
ネットワーク化は人間同士の意思伝達に当たると思っております。
そこでお尋ねをいたします。二十一世紀における情報化社会に対応した都市づくりについて田尻市長の基本的な考え方をお尋ねいたします。
〔市長 田尻靖幹君 登壇〕
◎市長(田尻靖幹君) 大江議員にお答えをいたしたいと思います。その前に、歴史と伝統に輝く熊本市議会に議席を得られました大江議員の、今後の市勢発展のために尽くされますその御期待と、そしてまた今後の御精進を心から御祈念を申し上げる次第であります。
さて、ただいまは、高度情報化の社会に向けた都市づくりということでの御質問でございます。今日、変革の時代とよく我々は口にするわけでありますが、一体変革の時代とは何だということになりますと、私どもが今世紀予想もしなかった問題がございます。それはやはり高齢化社会であります。私ども日本の社会におきましては人生五十年、五十年を人生八十年まで延ばしてきた。この三十年をどう今後やっていくか、これは人生にとって非常に大きな問題であると私は考えております。
次に国際化の問題であります。まさか今世紀、あの大きなソ連が消滅すると、これは一体世界の人がだれが想像し得たであろうか。そういうことを考えますときに、私どもは国際社会の日本というものを改めて考えていかなければならない。地方におきましてもこの国際化の問題を市政の最重点として取り組んでいかなければならない。あるいはまた御承知の、いわゆる
高度情報化社会の中におきまして半導体の実用化がこれほど進むであろうかと、これまた私どもの考えたことをはるかに超える大変な問題でもあるわけでありまして、この変革の時代をどのように乗り越えていくか、これが今日の私どもの市政に与えられました最も大事な問題であるというふうに認識をいたしております。
同時に、これらの問題は相関連しながらさらに変革の時代を進めていくと、そういう中に立って考えますときに、先端技術の変革がまさにその時代の先駆を受け持っていると、このような認識を持っているわけでありまして、ただいま議員御指摘のとおりに、情報通信手段の発達によりまして、流通、金融、製造と、このような産業面に著しい変革をもたらしました。また市民生活におきましても、市民の健康、福祉、医療、教育あるいはまた消費と、このあらゆる分野におきまして情報の重要性というのが一段と高まっているわけであります。
同時にまた、東京に対する一極集中、お話のとおりでありますが、この九州におきましても福岡の一極集中、これに対しまして、九州の各都市がこの問題について大変深い関心を持っていることも事実であります。特に熊本市におきましては、今世紀の前半は福岡市をしのぐ時代があったわけでありまして、そういう時代の変遷を考えますときに、やはり今後情報の問題、技術の問題、そして文化という、この三つの要素が相関連しながら市勢発展のかぎをつくっていくというふうに私は認識をいたしているわけでありまして、今後、大江議員の御指摘のように
高度情報化都市の実現こそが我が市政が、そしてまた熊本が九州におきまして再び一大雄都になる、そのかぎであるというふうに私は認識をいたしております。それゆえに、今後ともいろいろの問題につきまして私どもは積極的に取り組んでまいりたいと、かように考えております。幸い本市は全国六百六十三の都市の中から、特に国の
ニューメディアコミュニティー構想、議員御指摘の
テレトピア構想、
ハイビジョンシティー構想の指定も既に受けておりまして、あるいはまた流通センターを中心といたしました
広域流通ネットワーク型の
情報システム、こういうものも既に導入いたしまして、今都市づくりに積極的に取り組んでおります。今後、特段の御指導をいただきたいと思うわけであります。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) どうもありがとうございました。田尻市長のお言葉をいただきまして、私も心強くなりまして、先に質問を続けさせていただきたいと思います。
それでは、現在熊本市で稼働しているシステムや検討中のシステム、また私見を交えた新たなシステムについて提案を含めて質問をさせていただきますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
まず最初に、
地図情報システムについて提案をさせていただきたいと思います。これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
地図情報につきましては、地図上に都市計画、道路管理、上下水道などの施設管理、固定資産管理、救急・防災、都市ガス、電力線、電話線などの必要な情報を表示するものであります。例えば都市計画については、建築中の建物の場所、道路工事の区間、下水道工事の区間などを地図上に表示すると同時に、表示された位置を指定しますと指定された建物の設計図の情報、必要な情報を見ることができます。道路工事や上下水道工事についても、表示された位置を指定することによりまして工事期間、工事状況などの必要な情報を見ることができます。また画面の地図上で熊本市内で行われている工事を一目で見ることもできます。道路管理、上下水道管理、熊本市施設の固定資産についても地図上に表示されると同時に、表示されたものを指定しますと図面の情報や数値の情報など、それぞれ必要な情報を見ることができます。また都市ガス、電力線、電話線についても、情報を入れておきますと地図上で一目で見ることができます。あわせて、地中の埋設状況など必要な情報を見ることができます。この情報は災害のときや道路工事などをするときなどに非常に役に立つものだと思われます。
以上、述べさせていただきましたように、日常業務の効率化や各種の計画を進める上での支援などの効果が期待できると同時に、各種工事の市民からの問い合わせに対しても迅速に対応することができます。そして緊急時においても迅速に的確な対応ができると思います。地図情報化の技術も進んでおりますし、地図の拡大縮小や一部分だけの取り出しもできますし、地図情報を直接修正、追加、削除することも可能になってきます。
総合行政情報システムの
地域情報システムとも関連すると思いますが、
企画調整局長にお考えをお尋ねいたします。
次に、検討をされている
消防緊急情報システムについてお尋ねいたします。
火災発生から消火活動までの時間は、平均して、火災の発見から一一九番での通報に要する時間、これが二分、出動までの所要時間一分、走行時間三分、ホース延長と注水開始時間二分、合計八分ぐらいであると言われています。特に火災等で一一九番通報したとき、通報者が外国人、旅行者、身体障害者の方などの場合、及び通報者の気持ちの動転により自分の住所、氏名を満足に通報できなかったり、住所などを言わずに電話を切ってしまったりするケースがございます。こうした問題を解決するために、発信地表示と地図情報を組み合わせることによって地図上に発信地を表示することが可能になります。そして、先ほど述べました地図情報が整備されていましたらば、道路の幅などのデータや道路工事区間の情報によってその判断ができます。地図上で消防署から発信地までの最短距離のコースを割り出すことも可能になると思います。新聞報道でも消防局の
消防緊急情報システム導入検討の記事が出ておりましたが、現在までの検討内容と導入時期について消防局長にお尋ねをします。
次に、現在稼働中の
救急医療情報システムについてですが、このシステムは、
救急医療活動に必要な診療の可否、空きベッドの有無、血液・血清の情報を収集し蓄積しておいて、市民や医療機関、消防署からの問い合わせに対し迅速かつ的確な情報提供を可能にして、
救急医療情報センターと医療機関、消防局を結んでいるオンラインシステムでございます。現在、熊本県
救急医療情報システムとして稼働中ですが、聞くところによりますと各医療機関から入力されるデータが最新の情報になっていないとのことでございます。これではシステム自体も機能を発揮できないと同時に、
救急医療活動にも支障を来すことも出てくるのではないでしょうか。熊本市のシステムではありませんが、ぜひ熊本県なり関係医療機関に協力依頼をしていただいたらと思いますが、いかがでしょうか。これについても消防局長にお尋ねをいたします。
〔
企画調整局長 出田四郎君 登壇〕
◎
企画調整局長(出田四郎君) 大江議員にお答えを申し上げます。
御質問の
地図情報システムは、
コンピューターの高度利用の一つとして近年国や自治体でも研究や導入が進められているシステムでございます。本市が構築を進めております
総合行政情報システムの中では
地域情報システムと呼んでいるものでございます。これまで第一段階として住民情報、内部情報を開発してきたところでございますが、この地図情報は今後開発を予定しております第二段階の中でその中心となるシステムであろうと思うわけでございます。第二段階につきましては、本年度全庁的にシステム化に関する意向・要望調査を実施したところでございますが、幾つかの課から導入要望が出てまいっております。御指摘のとおり、本システムは地図情報を電算化することによりまして、道路、都市計画、消防、防災あるいは上下水道など広範囲にわたる行政事務の遂行に迅速かつ正確に対応できるものであろうと存じます。ただ導入に当たりましては、新たな
コンピューターの導入や各所管における基本データの整備、多大の費用を要する当初データの取り込み方法、さらには稼働後の
データ維持管理組織の必要など、事前に整備、解決しなければならない問題もございます。今後第二段階開発計画の中で、総合的な見地に立って関係部局と協議をしながら積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
〔消防局長 吉原準二君 登壇〕
◎消防局長(吉原準二君) 大江議員に御答弁申し上げます。消防の
情報システムについての二点のお尋ねでございます。
消防行政の推進に当たりましては、昨年策定されました新熊本基本構想に掲げられている災害に強い安全な都市の形成を目標に、市民の生命、財産を守る第一線の消防の使命を果たすべく、職員一丸となって二十四時間勤務体制のもとに頑張っております。災害の多様化、複雑化が予想される中、職員の資質及び技術の向上はもちろんのこと、さまざまな災害に対応するため新たな資機材やシステムの導入も必要であるというふうに考えております。
大江議員、御提言を交えての御指摘の点、
発信地表示システムや地図検索装置、あるいは車両の
維持管理システム、こういったものが組み込まれた
消防緊急情報システムにつきましては、現在局内の通信指令課を中心にして検討を進めております。今後は議会とも御相談申し上げながら積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
また第二点目の
救急医療情報シテムにつきましては、昭和五十五年三月から市内百三十六カ所の医療機関において空きベッド等の情報を確認しながら救急業務に生かしておりますが、今後も県衛生総務課と連携を密にしながら情報の正確性に努め、救急活動あるいは市民からの問い合わせに生かしていきたいというふうに考えております。今後とも市民の皆様の負託にこたえるためにも、本市消防の近代化に向けて積極的な取り組みをしてまいりたいというふうに考えております。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) ただいま地図情報についてもお答えをいただきましたが、
地図情報自体につきましては、特にその基礎データとなるものが──いろんな地図の会社があるわけでございますが、一番基礎データになるのは行政でございます。住民の転出、転入を含めまして、例えば建築中の家、これなどにつきましても建築指導課にデータが集まります。道路工事にしてもそうでございます。都市計画にしてもそうでございますし、もろもろの情報を合わせても行政でいち早く情報が得られる部分でございます。そういう意味からしますと、一番情報として集めていなければいけないのが行政サイドだというふうに思っておりますので、今後とも充実といいますか、含めまして御検討をいただければありがたいと思います。
それから消防の
緊急情報システムについてでございますが、本日消防局長もまだお答えになられなかったかもしれませんが、今お答えをいただいたもの以上のシステムを構築中だというふうに思います。消防につきましては、特に市民の命と財産を守るという意味からしましても、一秒、二秒、少しの時間でも早く現場に到着をして災害の阻止を図るという上から非常に必要なことだというふうに思いますので、ぜひこれについても、消防の近代化を目指す意味からも進めていっていただきたいというふうに考えるところでございます。
それでは、次の質問に移らせていただきます。現在、これも検討中とお聞きしておりますが、市民病院のシステム化についてお尋ねをいたします。
現在市民病院の利用状況、これは平成元年度の資料ではございますが、外来患者数延べ三十万三千八百九十一名、
入院患者延べ数二十万三千六百四十名で、年間の利用患者総数五十万七千五百三十一名になっております。一日平均では一千名を超える外来患者が病院に来ているわけですが、そのために長い待ち時間になり、待合室、駐車場の混雑につながっております。現在、市内の総合病院でシステム化されていない、これはレセプトと言われる部分ですが、窓口会計、
診療報酬請求などのシステム化ですが、それが行われていないのが市民病院だけだというお話も聞いておりまして、現在市民病院でも患者登録、窓口会計、
診療報酬請求、それに管理統計、債権管理業務、
薬品在庫管理業務、
薬品購入管理業務、それから薬歴管理業務だとか調剤業務、これらの医事業務、
病院管理業務のシステム化を検討されているということですが、進捗状況と計画についてお教えいただきたいと思います。
また今後、
病院情報システムを考える場合に、このほかにも多くの業務があると思いますので、紹介をさせていただきたいと思います。名前だけを羅列しますので、よろしくお願いをいたします。血液管理業務、病歴管理業務、
栄養管理業務、
放射線管理業務、病棟管理業務、健康診断業務、
看護勤務計画業務、
処方オーダー業務、検査結果照会業務、手術予約業務、
放射線予約業務、診療予約業務、入院予約業務、検査予約業務などの診療補助業務、これだけの多くの業務がございます。このほかにも、例えば病・
職歴管理システム、検査システム、
健康管理情報システム、
診療予約システムを実現できますれば、診療予約、再来受付、薬局での業務の迅速化が図れると思います。また待ち時間の短縮ができるとともに待合室の混雑解消にもつながると思います。
また病歴、薬歴などの
患者診療情報が得られますと、より的確な診療のサポートができるなど患者サービスの向上を基本にした病院経営の効率化、診療の質的向上が図れると思いますが、いかがでしょうか。
また、ただいま触れました
健康管理情報システムにつきましては、
健康増進センターの基本構想が出ておりますので、
健康増進センターを拠点とした
ネットワークで保健所、
保健センター並びに市民病院などの各医療機関を結んで、市民一人一人の生涯健康管理のために各種検診結果指導記録の収集、蓄積をされまして、
健康関連情報の一元化によって効果的な健康指導や成人病などの早期発見に役立つかと思いますが、いかがでしょうか、
保健衛生局長にお尋ねをいたします。
〔
保健衛生局長 後藤勝介君 登壇〕
◎
保健衛生局長(後藤勝介君) 大江議員にお答え申し上げます。
まず市民病院の
情報システム化についてでございます。ただいまいろいろと御指摘がございましたが、現在市民病院におきましては、窓口会計、
診療報酬請求などにつきましては情報のシステム化を行っておりません。ただ、
薬品在庫管理業務あるいは
栄養管理業務、
診療記録管理業務などの各部門におきましては、パソコン等を活用いたしまして業務の質的向上と迅速化を図りながら患者さんのサービス向上に努めているところでございます。市民病院の今後のサービス向上を考えますときに電算システムの導入は必要であるというふうに考えておりまして、病院内におきまして委員会を設け検討を進めておるところでございます。今後の方向といたしましては、レセプト
コンピューターの導入、さらには
トータルオーダーリングシステム化に向けて検討してまいりたいと考えております。
次に、
健康管理センターの
健康管理情報システムの件でございますが、市民の生涯を通じました健康づくりを推進します上で、検診データ、保険、医療、福祉に関します情報等の有効活用は不可欠と考えておりまして、母子保健や予防接種、学校保健、老人保健等に関しますデータの一貫した
管理システムの構築と、関連機関との
ネットワークの整備を進めることが必要と考えております。ただいま御紹介もございました
健康増進センターにつきましては、先般
健康文化懇談会から基本構想の答申をいただいたところでございますけれども、その中におきましてこの
健康増進センターは、生涯を通じた市民の心身の健康づくりの拠点として健康づくりを科学的に研究開発し市民の実践活動に供するとともに、健康情報の
ネットワークを目指す上でデータ及び情報一元化の中心的役割を担う施設であると基本構想の中にうたわれております。今後この構想の実現化に取り組んでまいるわけでございますけれども、
健康管理情報システムはその中心となる事業として検討を重ねてまいりたいと考えております。
なお、さきの十二月の議会におきまして保健所に
コンピューターを設置する予算の御承認をいただいておりますので、これをベースにいたしましてただいま御提案の趣旨も踏まえながら、
健康増進センターと保健所、
保健センターあるいはその他の健康関連施設をネットする
情報システムの構築に取り組んでまいりたいと考えております。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) ただいま
病院情報システムについてお答えいただきました。このシステムについては私が考えましてもかなり時間がかかるシステムではないかというふうに思いますが、ぜひレセプト業務から段階的にやっていただきまして、将来的には熊本市の総合病院の中でも模範となるようなそういうシステムをつくっていただくと、私も提案した立場で非常に楽しみかなというふうに思いますのでぜひよろしくお願いをいたします。
それでは次の質問に移らせていただきます。これも新たなシステムとして提案をさせていただきたいと思います。システム名については全部仮称でございますので、そういうことでお聞きいただきたいと思います。
行政情報案内システムについてでございます。これは音声応答認識・蓄積システムと言われるものでございます。特に皆様方も御存じかと思いますけれども、現在銀行アンサーというものがございます。電話をかけまして口座番号を入れますと声で残高照会が返ってくるというようなシステムでございますが、それの延長線といったようなことになるかと思います。
行政サービスの多様化とともに、案内や住民相談などが大幅に増加をしてきていると思います。また、週休二日が一般化していく中で、土曜閉庁、休日や夜間などの市民サービスも必要になっているのではないでしょうか。人を介さずにさまざまな問い合わせや相談に音声で応答するシステムなどはいかがでしょうか。一般家庭からは電話をかけることによって各種の問い合わせ、自治体の行事、イベント案内、各種講座などの案内、施設の利用案内や市民の声を伝言板に書くように声を記憶させることもできます。市民サービスの向上につながっていくと思いますが、今後検討されたらいかがでしょうか。これについては
企画調整局長にお考えをお尋ねいたします。
次に、先ほども触れましたけれども熊本地域
ニューメディアコミュニティー構想についてお尋ねします。
今日の情報化社会において、情報処理技術や通信技術が飛躍的に進展したにもかかわらず、地域における情報化は大都市に比べ大きなおくれをとっている状況にあります。これは、地方にまとまった需要が存在しない、情報化を推進する人材が少ない、資金力が不足している等の要因があると思われます。事実、日本の汎用
コンピューターの約半数は東京、大阪といった大都市に集中しているようでございます。このような大都市との情報格差を是正し、
高度情報化社会の実現に向けて、全国的にバランスのとれた情報化を推進しようとの考えで通産省が提唱したのが
ニューメディアコミュニティー構想でございます。
熊本市は古くから九州の中枢管理都市として、九州財務局、九州郵政局、九州電気通信管理局等の中央官庁の出先機関が多く設置されてきたことを背景に、産業的には商業都市としての性格を強く持って発展してきたところでございます。このため熊本市における流通業のウエートは大きく、重要産業の一つとして成長してきたところでございます。
このような中で田尻市長が非常なる熱意を持って取り組まれた熊本流通団地が今日では大きく開花し始め、九州における流通拠点性を強めつつあります。一方で今日の流通業は環境変化が激しく、都市間競争の激化、大企業系列化の動き、大型店問題等々課題も山積しております。このようなことから熊本地域
ニューメディアコミュニティー構想は、
広域流通ネットワーク型を基本理念とされたものであろうと推察いたします。
先般策定されました熊本市基本構想の中でも、
情報拠点都市並びに広域流通拠点の形成が上がっております。
ニューメディアコミュニティー構想に基づいて設立された熊本流通情報センターは、まさにこの拠点都市づくりの強力な推進機関といっても過言ではございません。現在この熊本流通情報センターは、受発注オンラインシステム、顧客
管理システム、商品
管理システム、事務処理オンラインシステム等を中心に研究開発及び実験稼働を行い、全国的に高い評価を得ていらっしゃるとお聞きしています。これは地元企業の皆様方の深い理解と、熊本市を初めとする関係機関の情報化への理解と協力のたまものであります。
しかしながら、熊本流通情報センターを株式会社としての経営面から見てみますと今後に大きな課題を残していることも事実であります。会社設立後五年間、つまり平成四年度までは、試験研究期間中は収入に制約を受けていたことも十分承知しておりますし、第三セクターであることも理解しておりますが、熊本流通情報センターはあくまでも株式会社であると思います。試験研究期間が終了した平成五年度以降は基盤技術研究促進センターからの出資も終わり、一法人としてひとり歩きを始めなければなりません。
ニューメディアコミュニティー構想の全国的なモデルとして得ている評価を崩すことなく熊本流通情報センターの安定した経営を確立するため、私なりに幾つかの提案を含めましてお尋ねをしてみたいと思います。
まず今後の事業展開でございますが、さきに述べました受発注オンラインシステム等が中心になると思いますが、さらに地元企業の現在使われているユーザーのニーズに合った事務処理システムや行政関連の業務の開拓に取り組み、収益の拡大を図られたらいかがでしょうか。
次に、会社経営の基本は言うまでもなく人であります。今後計画的な人材育成と確保が不可欠ではないでしょうか。現在はプロパー──センターで新たに雇用された社員の方ですが、──も少なく、市や民間企業からの出向職員が主力になっているようでございますが、SE──SEと申しますのはシステムエンジニアということで、システム系の仕事がほとんどできるというレベルでございますが、これを中心とするプロパー社員を雇用育成し、力をつけさせていくことが先決だと思いますがいかがでしょうか。
さらに、熊本流通情報センターに対する市の支援体制でございます。試験研究期間が終了した平成五年度以降も熊本市がこれまでのように財政的、人的支援を続けていくことは難しい面が残っていると思いますが、この点についてどのようにお考えになっているのでしょうか。試験研究期間終了後の市の支援体制についてお尋ねをいたします。
以上、
ニューメディアコミュニティー構想の推進母体である第三セクター熊本流通情報センターの今後の課題について私なりの意見、お尋ねを述べさせていただきました。これらに対する市の考え方を中小企業局長にお願いいたします。
〔
企画調整局長 出田四郎君 登壇〕
◎
企画調整局長(出田四郎君) 大江議員にお答え申し上げます。
議員御提案の
行政情報案内システムは現在東京の三鷹市を初め六都市に設置されております。その利用につきましては、市民が市政情報案内サービスに電話することによりまして市政のお知らせや施設の利用案内、市民相談などの市政情報が得られる仕組みになっております。
現在本市では二十一世紀に向けて新熊本構想に基づく市民主体の町づくりを進めているところでございますが、その中で広報広聴の町づくりに果たす役割は極めて重要でございまして、今後
ニューメディアを活用いたしました広報広聴活動の充実は大きな課題になると認識いたしております。
行政情報案内システムの設置につきましても他都市の利用状況や問題点を調査、研究するなど検討してまいりたいと思います。
〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕
◎中小企業局長(木村和臣君) 大江議員にお答えを申し上げます。
流通情報センターについてでございますが、熊本市は
広域流通ネットワーク型流通
情報システムの研究開発のテーマで地域指定を受けたわけでございます。その推進母体といたしまして熊本市が中心となって第三セクターの株式会社熊本流通情報センターを設立いたしました。同センターの業務といたしまして、まず卸小売業を対象としましたEOS、つまり受発注オンラインシステム、次に上通り、下通り、新市街を対象にいたしました
商店街POS、つまり顧客管理あるいは商品
管理システム、三番目に流通団地内企業を対象にしました事務処理システムを中心に行っているわけでございます。
これまでは試験研究期間ということで市が支援を続けてまいりました。しかしながら御指摘のように、試験研究期間終了後の会社運営を健全なものにするための方策を確立すべきであります。情報センターは第三セクターといえども一法人として経営的に自立すべきであるということにつきましては全く同感でございます。その意味から、御提案いただきましたように、優秀なプロパーを確保して収益性を考えた新規事業を開拓し実施すべきであるというふうに考えております。
そこで平成五年度以降の市の支援体制でありますが、当センターはニューコメ構想の先進事例としまして本市中小企業の情報化に大きな足跡を残しているわけでございます。しかしながら同社の現在の経営状況はまことに厳しいものがございます。これらを勘案しますと全面的に支援をやめるということはなかなか難しい状況かと存じます。したがいまして今後は今までに増して企業の自立経営に努めていただき、情勢に応じて支援を考えていきたいと存じます。今後ともニューコメ構想の推進につきまして御理解と御指導をお願いいたしたいと存じます。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) 総合
行政情報案内システムでございますが、これにつきましては今局長からもお話がございましたように、他都市でももう使われているということでございます。熊本市でも研究、調査をしていかれるということでございますのでぜひ推進をしていただきたいと思います。
それから、熊本流通情報センターでございますが、全国でも評価を受けている数少ない成功した例の第三セクターでございます。そういう意味から熊本市も育っていくそういうものがあるかと思います。ただ、そういうことからしても第三セクターと、発足して自立経営ができればこの上ないことでございますので、ぜひそういう形で進めていっていただければというふうに思います。
それでは次の質問に移らせていただきます。大まかなシステムのものにつきましてはただいままで質問させていただいたわけですが、そのほかに、例えば大気汚染、騒音、振動、地震の震動などの公害・災害、地下水の汚染の監視をする公害監視システム、こういうものも考えられたらいかがかと思います。また今触れました
ニューメディアコミュニティー構想についてもそうでございます。これに関連して、例えば地場企業を初めとする異業種間の技術ノウハウなどの情報交換や、地場企業が必要としている情報を提供をすることによって地場企業の経営の手助けをしていくそういうようなシステム、これも勝手につけているんですが産業
情報システムみたいなものなど、そのほかにもいろいろなシステム化が考えられると思います。
今後そういうふうなシステム化を進める上で情報の多様化、肥大化が進む中で事業の範囲も広がり、また人手不足が予想されます。特に行政の中では定員が条例で制限をされています。そういう中で情報通信のシステム化、
ネットワーク化は重要だと思います。今後システム化を進める上で行政のシステムは行政の手でつくることが必要ではないかと思います。そういう意味からしますと、各局で考えられるシステムのサポートなり、コーディネートをするところが必要になってまいります。現在、情報化に関しては、
コンピューターの汎用機とパソコン、ワープロ等のOA機器に分けまして、それぞれ電子計算課と企画室で担当しているようでございますが、他都市の事例を見ますと、ほとんど所管は一元化されており、職員数も本市と同程度の都市では四十名前後が一般的で、その担当の職員が基本的にはシステムの構築というか開発を行っております。また担当の名称も、そのような傾向を反映して、最近では情報管理課とか
情報システム課とかいったものに変わってきているようでございます。
確かに本市の場合、
コンピューターの歴史も浅いためやむを得ない面があるかもしれません。また人をふやしたからといって直ちにシステム化作業ができるわけではないこともわからぬではありませんが、民間の場合を例にとりますと、
情報システム部門に情報統括役員として重役を配置している企業すら出てきている時代でございます。
今後ますます情報化が進展することを考えましたとき、情報化担当部門の充実は急がれる課題だと考えますが、所管部門の名称の変更も含め、陣容の整備充実を図る考えはないか、
企画調整局長にお尋ねをいたします。
〔
企画調整局長 出田四郎君 登壇〕
◎
企画調整局長(出田四郎君) 大江議員にお答え申し上げます。
情報化担当部門の充実と一元化について御質問でございますが、現在電子計算課の職員数は十六名でございます。主に三十四の業務の運用や電算関係の管理業務に従事しているところでございますが、このほかのシステムやプログラム関係など専門的な分野につきましては十四名を民間に委託しておりますので、これらを合わせますと総勢三十名で運営をしているところでございます。また自主開発につきましては要員の養成が必要でございますが、通常その養成にはかなりの期間を要するというふうに聞いておるところでございます。これまでも積極的に研修等に派遣いたしたところでございますが、本年度からはさらに三名の職員をシステム化作業に従事させ実務経験の中でさらに一段の技能の向上を図っております。今後ともシステム関係に従事する職員の拡充及び技能の向上に努め、導入時の基本方針である自主運用を目指しまして頑張りたいというふうに考えております。
OA機器の所管につきましても、今後所管課の名称の検討も含め早急に一元化に努めてまいりたいというふうに考えております。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) ただいま企画調整局の中にそういう新たな名称でつくられたらいかがかという御提案をしたわけですが、今まで御紹介をさせていただきましたように、行政の中におけるシステム化の仕事というのは数多くございますので、そういう意味からしましてもそういう部門の整備拡張を含めてお願いをしておきたいというふうに思います。
それでは質問通告の二番目の教育問題に移らせていただきます。これにつきましては二件についてお尋ねをいたします。
まず最初に学校五日制についてお考えをお尋ねしたいと思います。
自民党の学校五日制に関する小委員会は、昨年十月に来年度中の月一回実施の提言をしました。時期は二学期から実施となっております。今、日本では、労働時間短縮が豊かな社会の創造のため早急な実現が求められています。しかし、産業間、企業間、地域間の格差、激しい企業競争、経営者の意識、低い労組組織率などのために時短の実現は法律による強制や行政指導による方法が大きなウエートを占めていると思われます。特に公務員の週休二日制と学校五日制は、社会全体を週休二日制に持っていくための起爆剤として期待されているのではないかと思います。
学校五日制が実施されますと、休みとなる土曜日はゆっくりでき、ゆとりができる。親子の触れ合いの時間がふえる。自分で判断して過ごす時間がふえる等のプラス面も考えられますが、この学校五日制についてはいろいろな問題点が指摘されたり、一般的に多くの不安が予想されています。例えば、授業時数の削減をしないために、休日となる土曜日の授業を他の曜日に上乗せする。行事調整で、子供たちが楽しみにしていた学校行事を減らす。授業時間の確保が一層強化される。宿題の増加、部活動の過熱化と塾通いの増加、学力の低下と非行の増加、事故やけが等の増加等々が挙げられますが、こういう問題がある学校五日制に関しての市教委の基本的なお考えをお尋ねいたします。
ところで、多くの父母が心配しているのは、土曜日が休日となった場合の受け皿ができているかどうかということです。昨年九月九日の議会で、我が党の東すみよ議員の質問に対して、図書館、博物館、動植物園、体育館、公民館、運動公園等公共の機関の活用について検討していく、また小中学校の運動場の活用など学校施設の開放等についても検討していくとの答弁がございました。
県教委では、市町村の実態に即しいろいろな取り組みを要求しているように聞いております。例えば具体的には、公民館では、子供向けの工作教室、天体観測、史跡めぐり、野外活動、料理教室、福祉施設訪問等の講座の開設であります。図書館では、子供向けの絵本展、書道展、映写会、人形劇等の開催。博物館では、地域の伝統的な生活用具、民家、衣服、土器等の収集展示、子供の参加による立体模型等の作成、そのほか市役所に対しては、遊び場や広場の設置、子供の活動に関連した事業実施や設備の整備、公園、広場の充実、さらにボランティア活動の日設定、学校施設の開放も考えておられるようです。それぞれ好ましい案であると思います。
熊本市でも学校五日制が二学期から月一回ではありますが、スタートするに当たって、授業内容や家庭、地域での教育などの課題の検討を行うプロジェクトチームを設置していると思いますが、どのようなことを現在話し合っているのか、また熊本市としては具体的にどのように進めていこうと思っていらっしゃるのかお尋ねします。
学校施設の開放等は好ましいとは思われますが、実際にはそれを監督する等の措置が必要になってくるのではないでしょうか。試行をしている他県の例を見ますと、教職員の三分の一、あるいは四分の一が出勤して施設開放の監督を行っているとの新聞報道を見たことがございます。こうなると週休二日とはならないわけで、労働時間短縮が今日的課題であると言われているのに、国家公務員が完全週休二日制になろうとしている今、何のための週休二日制か疑問に思われます。学校施設等の開放とそれらの運用について、具体的にはどのように進めていくつもりなのか市教育委員会の考えをお尋ねいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
次に学校施設、特に平日の放課後の運動場の様子について述べさせていただきます。土曜、休日の部活動の禁止を提案したいと思います。
現在、放課後の運動場はどうなっているかと申しますと、小中学校では野球部やサッカー部などが運動場を占めてしまい、一般の児童・生徒は自由に運動場を使って遊ぶことはできない状態になっております。土曜が休日になるということで、休日に部活動を行い、そのために部活動が過熱化することが心配されます。それを防ぐためにも休日の土曜の部活動を禁止、または自粛させるぐらいの措置はとることはできないのかお尋ねをいたします。
学校週五日制に伴い学力低下を心配する声が聞かれます。
その対策として土曜休校で減る分の授業時間の確保が大きな問題の一つになっております。新聞報道によりますと、沖縄県の中学校では、休校日以外の土曜の一時間目を九十分授業にしたり、岐阜県の中学は、三時間だった他の土曜の授業を四時間にしたり、またある学校では、始業式、終業式にも授業をしたとか、子供たちが楽しみにしている学校行事へのしわ寄せが起きていることも聞いております。これでは何のための週五日制なのか疑問と言わざるを得ません。今のカリキュラムのままで学校五日制が進んでいけば、学校現場では無理が生じ、教師も児童・生徒も疲れてしまい、健康破壊が起こることも心配されます。本来の学校五日制に見合ったカリキュラムづくりが必要であると思うし、来年度から実施される教育課程を弾力的に運用させるなどの考えはないのでしょうか。また学習指導要領の早期改訂を行政ルートで求めていってほしいと思いますが、熊本市教育委員会ではそのようなことに対してどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
小委員会は、教師の週休二日制でなく、あくまでも土曜・日曜日を家庭や地域で暮らす家庭・地域二日制であると強調しています。その中で、社会教育課では何らかの計画を立てていると思いますが、もし計画などがあればお聞かせいただきたいと思います。
〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕
◎教育長(谷口弘毅君) 大江議員にお答えをいたしたいと思います。
学校週五日制でございますが、社会の変化に対応した新しい学校の運営に関する問題でございます。この五日制につきましては、議員御指摘のように子供を家庭に返すというような点から、親子の触れ合いとかあるいはゆとり、そういったただいま議員御指摘のようなもろもろの事項と申しますか、プラスの面、そしてまた一方では、それに対します不安と申しましょうか、保護者のそういった点もあるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましてもこの週五日制につきましては、子供本位に、そして教育の視点から考えるべきものだと認識をいたしておるところでございます。
現在教育委員会内部におきまして学校週五日制プロジェクトチームを編成いたしておるところでございまして、その中で教育課程上の週時程の問題、あるいは学校行事等の運用のあり方の問題、それから意識調査の実施、地域活動のあり方、保護者、地域への啓発、それから児童・生徒が健全な時間を過ごすための環境づくりなどについてただいま総合的に具体的な検討を進めている真っ最中でございます。また学校施設の開放やあるいは部活動等のあり方につきましてもただいまモデル校と協力しながら、そしてこのプロジェクトチームの中でただいま鋭意検討を行っているところでございます。
それから最後に、学習指導要領の改訂につきましては新年度から小学校が全面改訂になりますし、そして五年度は中学校、六年度は高等学校が改訂される予定でございます。この新学習指導要領によりますと、その授業時数は標準時数として示されておるところでございまして、その運用につきましても今後さらに検討を重ねてまいる予定でございます。
〔十番 大江政久君 登壇〕
◆十番(大江政久君) ただいまお答えをいただきましたが、学校週五日制につきましては問題点としては二つあるのではないかと思います。一つは土曜、日曜の生徒の過ごし方、これについては解決できる問題ではないかと思います。しかし、二点目の学校のカリキュラムの問題、これについては文部省あたりで制定をされる、また変えられなければしようがないと思います。今御説明ございましたように、学習指導要領の改訂の中でそれが果たされなければ、学校週五日制の問題というのは解決しない問題ではないかと思います。
一点目の土曜、日曜の生徒の過ごし方、これにつきましては細かい問題等が出てくるかと思いますので、教育民生委員会、我が党東議員の方から委員会の中でやっていっていただきたいと思いますので、継続してお願いをいたします。
それでは次の質問に移らせていただきます。外国人子女の教育問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
先日のニュースで、出稼ぎに来ていたフィリピン女性が出産後行方不明になり、その女性の子の国籍問題が報道されました。この例に関連するかと思いますが、熊本市内でも、外国人居住者をめぐって学校でも問題が起こっているようにお聞きをしております。そこで、教育関係に起こっていることに限ってお尋ねをするとともに、よりよき配慮をお願いするものでございます。